園長コラム 太陽のお母さんの音楽の楽しみ方

 毎日暑い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか。幼稚園も長い夏休みが始まりました。暑いから夏休みがあるとの事で、地方によっては夏休みが短く冬休みが長い所もあり、二学期が始まる時期は色々だそうです。パリではオリンピックが開催されていますが、フランス人は他国で夏を過ごす人も多いとか。夏の過ごし方も様々ですね。

 さて、今回のブログの内容は「お母さんの音楽を楽しむ姿に脱帽」というテーマでお話しします。

 昨年度の太陽第一幼稚園の保護者会で「園にあるマリンバや木琴を弾いていみたい。園長に教えてほしい。」というお母さんからの声をいただきました。園長の私は驚きでした。(もしかしたら私の出番?)なぜ園長がマリンバを?私ごとですが、若かりし頃マリンバの音色に心を打たれ、小学校から高校生の間マリンバを習っていました。一時中断し、結婚、出産後、またレッスンに通い、気づけば娘三人も無理やりレッスンに。「私は習いたくなかったのにお母さんにさせられたー!」と今でも言われています。昨年度チラッと園内のコンサートで、久しぶりに娘二人とアンサンブルをしたのを保護者の方が聴いてくださり、このような声を上げてくださったのだと嬉しく思いました。

 この5月にマミーズ(お子さんを園に預けている間にお母さん達がお母さんの好きなことをする会)主催で「木琴・マリンバの会」をスタートしました。募集内容は、ドレミが分からなくても大丈夫。園児同様少しずつ進めます。4回でワンクールとし、今回は基礎を中心に「ドレミの歌」のアレンジが1~5ありますが、1のみの主題で終了しようと考えていました。園には木琴が13台、マリンバが4台あります。初回から定員一杯で多い時には一台に二人で演奏する時も。在園の方、卒業生の方の参加もあり、1回目から真剣そのものでした。

 合言葉は「あきらめない!」小さな子(下の子)を連れての参加をいとわないのが太陽のお母さんの素晴らしい点です。その子達こそ色々な場面に出向くことで、知らない間に様々なことを学んでいるのです。その小さな子は、お母さんになんとか木琴を引かせないようにと、足首にまとわりつきます。でも母は偉大です。おかまいなしに弾きます。ある子は片端からバチを集めてお母さんに弾かせないようにします。そんな時、お母さんはあきらめず、鼻歌混じりでエアーで弾きます。ぐずる子は抱っこ紐で、ひょいと抱っこしたりおんぶして弾いたり、片手で抱きながら片手で弾いたり。

 鍵盤はどこを見ても茶色。ドはどこ?端から数えて確認。両手にバチを持つと、どうしても右利きの人は右ばかりで弾いてしまうので、「右・左、交互に弾きましょう」「左が上になるように」「鍵盤にバチが当たったら跳ねる」「鍵盤の真ん中をたたいて」「身体は弾く音の前まで動いて、歩いて」「もっと音を出して」「違う音を弾かないで」「一列目の人だけでもう一回」私のスパルタの声が音楽室に響きますが、全くめげないお母さん達。脱帽です。回を重ねるごとに、めきめき弾けるようになり、メロディーが流れトレモロもきれいに。大人になってトレモロ奏法をするのは実は難しい技術です。ところが太陽のお母さん達はコロコロと上手に弾くのでビックリ!でした。そんな頃、お母さん達から「子ども達に聴かせたい」という声が上がり、最終日も間近。バリエーション1で終わる予定がバリエーション5に突入。でも時間がない。ええい!おまけに3回増やし最後まで完成させよう!達成感を味わっていただこう、という私の勝手なもくろみ。

 増やした3回もこれまた皆さん熱心に参加をしてくださいました。毎回お母さん達の意欲、根性に圧倒されてばかりでした。暑い日もあれば、疲れている日、面倒な日、体調がすぐれない日など、大雨と大風の日は中止にしようかと悩んだ時もありました。ところがいつもより早く下の子を連れて雨でビショビショ。「来ちゃった~!」と元気はつらつ。

 いよいよ最終日。なんと今日が初めての参加という方がいらして、30分で習得。また、長いこと休んでいた方も久しぶりに顔を出してくださり、「弾ける所だけ弾きます!」と前向きな姿勢に感動。

 この日はピアノ伴奏を年中児のあるお母様に依頼。10時には園児達が聴きにくることになっていました。ところが全員集まって一通り最初から通し、バリエーション5に力を注いでいたところ、時間終了。音楽室の扉の前で園児が待機。もう限界となり、可愛いお客さんが入室。

 「最後まで通していないので、弾けないところは弾いているつもりで弾いてくださ~い!」と私。(まさか、そんな・・・というざわめき・・・そして不安な顔のお母さん達)

 ところが、なんと見事に弾き、子ども達からは拍手喝采でした。マリンバや木琴を通して、改めて太陽のお母様方の母の強さ、挑戦力とど根性、そして恥ずかしがらない姿勢に脱帽。私が描いていた完璧な木琴・マリンバ奏法による一曲の完成など、必要ありませんでした。穴があったら入りたい心境です。

 子育てをしながら、限られた時間の中で自分ができることを楽しんですればいい。ということを教えていただきました。それでいいのです。

 最終日、演奏を聴いたあの瞬間の子ども達の嘘のない笑顔、満足気な顔。子ども達は「お母さん達の演奏」に本物を感じたのでしょう。

 ふつつかな指導に最後までお付き合いいただきありがとうございました。