園長コラム 自分でつくる幼稚園生活

 太陽幼稚園の一日は「さて、今日は何をして遊ぼうか」から始まります。「自分のしたい遊びを存分にする」ということを大切にしています。三十人いれば、三十通りの意見が出ます。

 こんな時がありました。「みんなの家族が幼稚園に来る日があるけど、皆はお家の人と何をして遊びたい?」と聞くと、外で遊びたい、ドッジボールをしたい、おままごとをしたい、縄跳びをするのを見てほしい、お化け屋敷を作って驚かせたい、アイスクリームを一緒に作って一緒に食べたい・・・様々です。このように意見を交わす中で、皆気持ちが違うんだ。考えていることが違うんだということを知ります。「皆それぞれ違う」ということが重要です。

 逆に大人が決めたことに子どもが従う。大人が主体だとどのようになるでしょう。「今日はこんなことをします」「ハーイ」子どもが大人の意見に従うことに慣れていると両者共に楽です。反発もせず人の意見も聞かず、他者の違いにも気がつかず、困っている人の存在も知らないでしょう。レールの上を歩けば失敗もせず考えることもしなくていいからです。 

 ある日、第一幼稚園の年長の子が一つの段ボールを見つけ、ガチャガチャの販売機を作りました。プラスチックの丸い容器がコロコロ転がって出てくるので、大人気になりました。と、次は自動販売機を作ろうとなり、段ボールに仮名で「じどうぱんばいき」と誤って書きました。「おもしろいから、パン売機にしよう」となり、お金を入れ「フランスパン、あんパン、ピザ」等、指名をするとパンがゴロゴロ出てくる自動パン売機がまたもや大人気に。年少、年中児はもとより、第二幼稚園の子も招待しました。

 というように、自分がしたい遊びをする。自分がしたいからする。が太陽の基本です。子どもが主体になり、したい遊びの援助を大人がします。気がつくと興味を持った子がゾロゾロと仲間になり、同じ目的を持って、ああでもない、こうでもないと相談し合い、次の日も次の日も遊びが続きます。

 園生活は子どもの手と頭と心を使って作ります。前述したように、大人がレールを引きその上を歩くのは簡単です。なぜなら考えずについていけばいいからです。

 小さい時から健全な心を育てたいと考えています。自分は今、何をしたいのか、遊びたいのか休んでいたいのか、何もしないで友達の遊ぶのを見ていたら誘われた、一人ではできなかったけれど仲間が声をかけてくれたから、してみようかな、楽しい!心が動くのを待ちます。急がなくていいのです。

 「したいことをする」という時に大切なのは瞬間です。子どもの気持ちが動いた時に大人は一緒にする、というのが太陽のスタンスです。待たせない、ということです。担任はもちろん、フリーの教員、職員室にいる総務、体育講師、副園長、園長は子ども最優先です。様々な事柄をやりくりし、子どもの「したい」につき合います。この子ども達の、こうして、ああして、の要望をその瞬間で叶え、人と人との信頼関係を作るのが私たちの子育て、使命です。

 次回は「決める」ということについてお話しいたします。