「太陽幼稚園の教育活動で特に大切にしていることは何ですか?」
保護者様に、そう聞かれることがあります。
「音楽ですか? 絵本も大事にしていますか? やっぱり泥んこですよね?」
確かにどれもが正しいのですが、正解ではありません。
音楽も、絵本も、泥んこも、手段であって目的ではないからです。
太陽幼稚園が大切に考えているのは、次の4つの教育方針です。
- 遊びからの学びを大切にすること
- 幼稚園での生活を通じて、親子の信頼関係をより強く育むこと
- 生きているだけで、すばらしい。そんなふうに思える“自己肯定感”を育むこと
- 自分で考えて行動できる“生きる力”を持った子どもに育てること
「大切にしている、10のこと」は、
これらの教育方針をベースに太陽幼稚園が長い時間をかけて
大切に育んできた具体的な取り組みです。
音楽には、豊かな感性を育む力があります。うれしいとき、悲しいとき、自分のあふれ出す感情を表現できるものであり、心の支えとなるものでもあります。太陽幼稚園では子ども達に、本物の、心にひびく音楽に触れる機会を惜しみなく与えることで、美しいものを美しいと感じ、自己表現できる感性を育てたいと考えています。
太陽の1日は、歌に始まり歌で終わります。担任と子ども達でクラスの歌をつくったり、春と秋には様々なジャンルの演奏家を招いてコンサートを催したり。専属の音楽監督がおり、子ども達だけでなく全教職員も教わり、技術を磨きながら音楽的なセンスを高めています。いつでも音楽がそばにある、そんな音楽にあふれた環境づくりを大切にしています。
光、水、土、空気、緑……自然はそのすべてが先生。子ども達の遊び道具であり、たくさんのことを教えてくれます。見て、聞いて、触れて、かいで、味わって、子ども達がいろいろなことを感じ取れるような、自然との触れ合いを大切にしています。
毎日遊ぶ園庭は、小さな発見が散りばめられた一番身近な自然。アゲハの幼虫を見つけたり木々の花や葉の色の変化から季節の移ろいを感じたり、1日として同じ自然がないことに気づかせてくれます。ときには園を飛び出して、公園や緑地、河川にまで足を延ばすこともあります。
また、日本シェアリングネイチャー協会 公認のネイチャーゲームリーダーの資格を持つ教職員もたくさんいます。
幼児期の子ども達は、現実の世界と物語の世界を行き来する力を持っています。この大切な時期に、たくさんの良質な絵本に触れることは、子ども達の心を大きく成長させることにつながっています。
太陽幼稚園では、絵本は大人が読んであげるものととらえています。毎日絵本の読み語りの時間があります。そのとき子ども達、一人ひとりを膝の上に抱えているつもりで、心を込めて丁寧に読んでいます。
でも、私達の本当の願いは、親子で、ご家庭で絵本を読んでもらうこと。そのために、良い絵本の選び方などを学べる“絵本の扉”(旧絵本セミナー)や、週に1度、保護者様がクラスの子ども達に絵本を読み語るブックママの活動、本の貸し出しなどを行なっています。
子ども達にとって幼稚園は、家族以外にも信頼できる存在があると知る、社会のはじまり。その、生きていくうえで基礎となる“人への信頼”を育むには、教職員や保護者様といった、周りにいる大人達の関わりが欠かせません。
太陽幼稚園では、大人達が力をあわせて、子ども達一人ひとりの成長を見守り、この時期ならではの子育てのおもしろさを共有できるように、保護者様も気軽に園の活動に参加いただける機会をたくさん用意しています。
心も身体も日々変化する幼児期だからこそ、子ども達の成長を一緒に楽しみましょう。
幼稚園に通園した子どもが、離れたところにいる家族とのつながりを感じられるもの、それがお弁当です。お弁当箱のふたを開けたとき、大好きな食べ物が入っていたら、どんなにうれしいでしょう。その喜びは、子ども達の活動の源になります。
手の込んだ、カラフルなお弁当である必要はありません。好き嫌いをなくそうと、嫌いな食べ物を無理して入れる必要もありません。毎日同じものでも構わないので、お子様の好きなものを詰めてあげてください。
毎日のお弁当づくりは、大変です。けれど必ず、つくってきて良かったと思える日が来る。私達はそう信じています。
子ども達が触れるものは、“子どもだから”という基準ではなく、大人から見ても良いと思えるものを選んでいます。
絵本でも音楽でも何でも、時代を超えて今に伝わるものや本当に良いものに触れた体験は、子ども達の心に一生涯、残ります。そういうものを厳選して、与えたいのです。
そのため、教職員は研修などを通じて“本物”を見る目を養い、人として磨きをかける努力をしています。
誕生日は、自分が愛されて生まれてきたことを実感できる、大切な日。だからこそ太陽幼稚園では、毎月のお誕生日会で、保護者様に「我が子へのメッセージ」をお話ししていただいております。
子どもの成長とともに、親として期待することや求めるものは増えがちですが、生まれてきたあの日は、ただ健やかに生きてくれることだけを望んでいたはず。そんなはじまりの日の思いに立ち返り、「生まれてきてくれて、ありがとう」という思いを伝える日にしてほしいと思っています。
太陽幼稚園が目標に掲げる「自分で考えて行動できる子どもに育てる」を実践するもののひとつが、年長組のキャンプです。
2泊3日、親元を離れて、自然の中で思う存分、自由に遊びます。自分で着替えの用意をし、食事は食べたいものを食べられる分だけ自分でとるという“生活”を体験します。
家族がそばにいない不安な夜をともに過ごした仲間との間に、大きな絆がつくられることも、このキャンプの醍醐味です。親から離れて過ごせたという経験が、子ども達の自信につながっていきます。
「子どもにとって、良いものとは何だろう」「こんなことをしたら楽しいかもしれない…」。そんな視点で、子ども達が遊びから学ぶための環境を追究してきたら、太陽幼稚園ならではのオリジナルがたくさんでき上がりました。先生と子ども達でつくるクラスの歌、2泊3日のキャンプ、園オリジナルのおたより帳やクリスマスプレゼント、卒業後もつながっていられるしくみ。
いろいろとありますが、一番のオリジナルは、子ども達の発想や保護者様と教職員の感性や経験から生まれるアイデアを引き出し、実現していく環境です。「こうでなければ」と決めつけず、あれもいいね、これもいいねと、子ども達の教育により良いものを取り入れていく。そんな柔軟性と、一人ひとりの個性を大切にしたいと考えています。
太陽幼稚園は、園に関わるすべての人のふるさと。子どもも大人も、いくつになっても、いつでも帰って来られる場所です。
卒業生には、園庭開放や太陽自然学校、課外教室を通じて、いつまでも園とつながっていられる環境を整えています。また、卒業生の保護者様も、コンサートのご案内や卒カフェ、卒業ボランティア活動などを通じて、園を見守ってくださっています。
この園で築いた人とのつながりを、ずっと持ち続けられるように、地域に根ざした園でいられるように、卒業後の関わりも大切にしています。